第三期(2014-2016年度)共同研究

1. 『マルチ言語版絵巻物による日本常民生活絵引』

共同研究の目的

『マルチ言語版絵巻物による日本常民生活絵引』全5巻のうち、21世紀COEプログラムにおいてVol.1/ Vol.2を、センター第一期共同研究においてVol.3刊行した。本研究の目的は、完訳版全5巻を刊行することである。これをとおして、海外において、歴史・民俗学・人類学・文学など、様々の分野の方々が日本の「常民生活」のあり様を参考にしてくれることを期待している。

共同研究の分担

研究代表者 ジョン・ボチャラリ
共同研究者 クリスチャン・ラットクリフ、 鈴木陽一
研究協力者 何彬、 君康道、 徐東千、 中井真木、 李利

2. 19世紀前期ヨーロッパ生活絵引研究

共同研究の目的

ヨーロッパの重要な諸都市について、19世紀前期における生活の様子を、非文字資料を中心に分析、比較検討して、絵引を作成することを目的とする。 「ヨーロッパ」はこの場合、英語圏、フランス語圏、ドイツ語圏、イタリア語圏を指すものとし、取り上げる都市としては、ロンドン、パリ、ベルリン、ミュンヘン、ウィーン、ローマ、ヴェネツィアなどを考えている。「19世紀前期」は、およそフランス革命から1870年頃までの時期を指している。 使用予定の主な資料は、この時期に作成された絵画・版画のうち、それぞれの都市の建築物、広場、街路、水辺、公園などを、そこに集まる人々とともに描き出している作品である。 建築物や広場などの様子を、ヨーロッパ横断的に比較検討することにより、共通性と相違とを浮かび上がらせて、当時のヨーロッパの生活への洞察を得ることができるだろう。

共同研究の分担

研究代表者 鳥越輝昭
共同研究者 小松原由理、 熊谷謙介、 ステファン・ブッヘンベルゲル
研究協力者

3. 『中国・朝鮮の旧日本租界』

共同研究の目的

中国・朝鮮の旧日本租界研究をメインテーマにした第1期・第2期の活動において、共同研究者各自の関心に基づく調査や研究報告を行い、収集した資料も相当量に上り、取り組んだ関連テーマも多様な広がりを示している。

しかし、とくに第二期で各自の研究に委ねる状況にとどまった点を克服して、第3期では、資料の整理と現況調査を継続しつつ、その中で、現地で日本人が発行した新聞、雑誌類について分担して調査を行い、これまでの研究の締めくくりとなるような共同研究の成果を公刊する計画である。

共同研究の分担

研究代表者 大里浩秋
共同研究者 内田青蔵、 金容範、 孫安石、 村井寛志、 須崎文代、中村みどり、彭国躍
研究協力者 栗原純、 吉川良和、 冨井正憲、 田島奈都子、 菊池敏夫、齊藤多喜夫、 陳雲蓮

4. 海外神社跡地のその後

共同研究の目的

我々が先鞭をつけた、海外神社の跡地研究は台湾で盛んに行われるようになり、韓国においても研究が始まりつつある。今後、中国においても研究が始まることが予想され、その意味でこれからが海外神社跡地研究の本格的スタートになる。

我々の今期の共同研究は、海外神社跡地の景観変容について戦後の国家体制及び日本との関係を中心に検討することを目的とする。地域的にはまだ我々にとって研究の空白になっている、東南アジア(ベトナム、フィリピン、インドネシア)及び北朝鮮地域(国幣社2社を含む24社が存在していた)を主な対象とする。

共同研究の分担

研究代表者 中島三千男
共同研究者 津田良樹、 小熊誠、 後田多敦、 前田孝和、 菅浩二
研究協力者 稲宮康人、 金子展也、 辻子実、 渡邊奈津子、 本田佳奈、

5.汽水の生活環境史

共同研究の目的

日本列島には、大河川の河口部や潟湖・内湖といった沿岸環境の多くは淡水と海水が入り交じる汽水域となる。そこは、従来、低湿なため人が暮らしにくい不毛の地、新田開発などにより克服されるべき悪地として位置づけられてきた。しかし、そうした評価はおもに為政者の側からなされたものにすぎない。また為政者のために残された記録や統計に頼る歴史研究の視点もそれにならうものであったことは言うまでもない。

しかし、現実にはそうした地にも人が暮らし、またいっけん悪条件だからこそ独特の民俗文化が形成されてきた。たとえば、淡水魚とともに海水魚が棲息する汽水域ではその生産性の高さを利用する独特な漁撈技術が発達するし、また水の制御がままならないからこそそれに順応したかたちでの低湿地農耕がみられた。さらに、そこは海から河川へまたその反対の荷の積み替えがおこなわれるなど水上交通の要地ともなっており、歴史的には市や宿屋の登場といった都市化への胎動ともとれる現象がみられた。

本共同研究では、汽水域独特の文化要素を繋ぎ合わせ、日本列島の生活環境史として総合化することで、生活者の視点にたった汽水像を描き、「汽水文化」を提唱することを目的としたい。また、その過程において、非文字資料研究の方法として、生活環境史の手法を開拓することも併せて研究の目的とする。

共同研究の分担

研究代表者 安室知
共同研究者 川島秀一
研究協力者 常光徹、 松田睦彦、 山本志乃

6.船上生活者の実態とその変容に関する研究

共同研究の目的

第二期共同研究の北九州市若松区洞海湾の船上生活者の歴史的変容に関する研究の成果を踏まえ、第三期共同研究では、国内外の大型船が出入港する横浜の湾内や河口域を中心に、江戸時代の「家船」の伝統をもつ瀬戸内海、海産物などの物資を積んだ船が行き交う長崎海域などで活動した船上生活者の実態と性格を追究する。

各海域の船上生活者は、それぞれ近代化の一旦を担う海の民として存在したが、活動する海域によっては、その規模、形態、輸送物資、教育環境など決して一様ではなく、それらを比較検討すること広より、各海域の船上生活者の特質に加え、これまで未解明であった船上生活者の歴史とその変遷が解明できるものと考えられる。

調査研究方法は、現地に赴き、船上生活者のオーラルヒストリー、写真資料、図像資料、さらに、文献資料などを収集し、これらの資料を総合的に分析して課題に迫ることにする。

共同研究の分担

研究代表者 田上繁
共同研究者 森武麿、 安田常雄、 昆政明
研究協力者 若宮幸一

7.インターネット・エコミュージアムのためデータマイニングとユーザインタフェース等の基盤技術に関する研究

共同研究の目的

本共同研究は、第二期共同研究計画における非文字資料の検索,流通等に関する成果を踏まえて,インターネットエコミュージアムや只見町に開設予定の民族博物館において必要なデータマイニングやデータの入力や検索に適したユーザインタフェースなどの基盤技術を開発することを目的とする。

第二期共同研究計画における非文字資料の検索,流通等に関する成果を踏まえて、インターネット・エコミュージアムや只見町に開設予定の民族博物館において必要なデータマイニングやデータの入力や検索に適したユーザインタフェースなどの基盤技術を開発することを目的とする。具体的な事業内容は以下の項目からなる。

(1)オントロジーを用いたデータマイニングの実際の資料に対する応用 (2)資料のデータベースをクラウド化する際の個人情報保護と著作権管理 (3)資料の整理とデータ入力や流通を円滑に行うためのゲーム理論や、群知能などに基づく価値交換モデルの構築 (4)資料を直感的に取り扱うことを可能とする、群知能を用いた操作のコンテクストに基づくユーザインタフェースの構築

共同研究の分担

研究代表者 木下宏揚
共同研究者 佐野賢治、 能登正人、 宮田純子
研究協力者 小松大介、 鈴木一弘

8.戦時下日本の大衆メディア研究

共同研究の目的

この研究は、近年日本近現代史研究においても、広がりを見せている戦時下大衆メディアを対象に、そのプロパガンダの機能などを通して、戦時下大衆文化の構造を検証し、戦時体制の特質を再考することにある。

具体的には、非文字資料研究センターに収蔵された「国策紙芝居」資料を中心に、資料収集に努めるとともに、いまだ不十分である大衆文化の分析視角の共有化を進めること。また同時代の映画・マンガ・アニメ・流行歌などとの関係や、植民地での実態、さらにナチスドイツなどとの比較も視野に入れながら、多角的に進めたい。 研究は資料収集のための現地調査や関係者の聞き書き、関連分野の研究者を含めた研究会などを予定している。

共同研究の分担

研究代表者 安田常雄
共同研究者 森武麿、 大串潤児、 森山優
研究協力者 小山亮、 新垣夢乃、 松本和樹、 原田広、 鈴木一史

9. 『日本近世生活絵引』南九州編編纂共同研究

出展:「国立国会図書館ウェブサイトより」

共同研究の目的

2013年度までに研究をまとめた『日本近世生活絵引』奄美・沖縄編では、「南島雑話」以前の近世奄美の習俗を描いた絵巻「琉球嶌真景」を取り上げた。奄美の習俗を見ると、琉球のものと薩摩のものがそれぞれ影響を与えていることがわかった。その関連で、薩摩を中心とした南九州地域における風俗絵図を研究する必要があると判断し、今期ではその絵引きを作成する。

共同研究の分担

研究代表者 小熊誠
共同研究者 駒走昭二、 渡辺美希 、富澤達三
研究協力者 得能壽美、 小島摩文、 上原兼善、 橋口亘